出生前診断を受ける割合はどのくらいなのか?妊娠中の方の疑問の一つである出生前診断。出生前診断でわかる障害はいくつかありますが、最も知られているものがダウン症ではないでしょうか。
1998年から2016年の間、出生前診断を受けた妊婦さんは全体の7.2%ほどだそうです。
しかし高齢出産(35歳以上)の妊婦さんに絞ると、出生前診断を受ける割合は25%にあがります。ダウン症のリスクは20代より30代、30代より40代と、年齢が高くなるにつれ高まるという話が常識になりつつあるため、その割合が高くなっているのがうかがえます。
出生前診断については、命の選別を行う可能性もあるため賛否両論あります。何を基準に受ける、受けないを決めているのか。
ぎりぎり30代で検査を受けた自身を含め、20代で検査を受けた知人、40代で検査を受けなかった知人の話を参考に、出生前診断について考えていきます。
出生前診断を受ける割合は?40代では常識?39歳で羊水検査を受けた自身の話
私たち夫婦は妊娠する前から、出生前診断を受けることを決めていました。30代ぎりぎりでの出産になるため、自分たちが死んだ後のことを考えると障害がある子どもだと困難な人生になるとの思いがあったからです。
ですので妊娠前は、陽性になったときは中絶をするつもりでした。中絶か継続か。二択しかありませんでしたので、検査は確定診断である羊水検査を予定していました。
しかし妊娠していざ検査を受ける時期になり、もしもの場合この子を諦める選択をとれるのかという気持ちが大きくなってきました。
正直、検査方法を変えるか、検査自体をやめようかと思う時期もありました。しかし同時にこのままもやもやした気持ちで残りの妊娠期間を過ごせるのだろうかとも思い、迷いに迷って当初の予定どおり羊水検査を受けることにしました。
検査から10日ほどで結果が出たと連絡があり、陰性と聞いたときには心底ホッとしたのを覚えています。結果もそうですが、なにより中絶を考えなくて良いというのが大きかったと思います。
28歳でNIPT(新型出生前診断)を受けたA子の話
A子は27歳で結婚、結婚1年後の28歳でめでたく妊娠。妊娠8週で報告を受けた義両親から、出生前診断をして欲しいと強く言われたそうです。
言葉としては知っていましたが、受けようとは考えたこともなかったA子。年齢的にも染色体異常の可能性は低い、と旦那さんも説明したようですが、けっきょく義両親に押しきられる形でNIPT(新型出生前診断)を受けることを承諾したそうです。
NIPTは母体の血液を取るだけで診断ができ、お腹の子どもにリスクがないことと、従来の検査よりも精度が高いのが特徴です。
日本医学会の認定している大学病院に電話をしたところ、受診の条件に満たないと言われ予約を取ることができませんでした。困ったA子がネットで検索をすると、認定の病院ではない美容外科で受けられることがわかり、早速予約をとりました。
検査は問診票を書いて採血、「検査結果は2週間後くらいを目安に郵送します。」と言われ、ものの30分ほどで美容外科をあとにしました。
2週間後に送られてきた検査結果には「陰性:異数性は検知されませんでした。」と書いてありホッとしたものの、小さめの文字で「この検査はあくまでスクリーニング検査であり、間違って陰性や陽性と出ることがあるので、確定的な診断には羊水検査が必要」との旨が記されていました。
その表記が気にはなったものの、検査特に特に説明などもなかったため、少しの不安を残しつつ検査は終わりました。
40歳でNIPTを予約したものの、最終的には検査をしなかったB美の話
B美は35歳のときに結婚。お互い仕事を持っていたので、当初は子どもはできたときに産む、というスタンスで自然に任せていました。
ですが、30代も終わりにさしかかりさすがに焦りを感じ、旦那さんとともに不妊治療に取り組みます。タイミング法を3回ほど試し、その後人工授精に挑戦。体外受精までステップアップするか悩んでいた3回目で、無事に妊娠することができました。
出産時には40代に入るということで、ダウン症のリスクを調べたところ確率はおよそ1/90。その確率を見て不安が強くなったB美は旦那さんと相談、認定機関である大学病院にNIPTの遺伝カウンセリングの予約を入れました。
遺伝カウンセリングでは検査の内容、検査でわかること、わからないこと、遺伝子について、もしも染色体異常があった場合のことなど、一時間にわたり詳細な説明があったそうです。
カウンセリングでの話をうけて夫婦で再び話し合い、やはりどんな場合でも中絶は選べないとの結論を出しました。
検査を受けてもおろせないのであれば、どんな子どもでも受け入れると決め、その後の検査は受けなかったそうです。
出生前診断を受ける割合は?40代では常識?【まとめ】
出生前診断を受ける割合は年齢によってもかなりばらつきがあります。高齢になればなるほど受ける割合が上がるのは、ダウン症のリスクも高くなるためです。
しかし20代だから大丈夫、40代だからダウン症の心配をしなくてはいけない、というものでもありません。
出生前診断を受けるかの判断には、リスクをどうとらえるのか、経済的な事情、年齢、子育ての環境、様々な要因が絡んできます。家族ごとに事情が違うため、一概にこうしたほうがいいという決まりはありません。
しかし命の選択をはらむ問題でもありますので、家族で納得がいくまで話し合い、時には専門家の意見を聞き、しっかりと話し合うことが一番大切なのではないでしょうか。