母乳やミルクを求めて泣いていた時期、食べさせてもらうのを待っていた時期。
そんな時期も過ぎてゆき、1歳も近づいて後期食にも慣れてくると、スプーンなどの食具に興味を示して持ちたがり、食事そのものを手でつかんで食べる「手づかみ食べ」をし始めるようになりますよね。それまでは角切りにしていた野菜も、つかみにくそう…。
献立はどうすればよいのか迷ってしまいますよね。手づかみ食べをしやすいように、スティック状にするなどの工夫をしてあげるとよいと思います。
手づかみ食べの意味や、献立を考える際に気を付けるとよいことなどをご紹介していきます。赤ちゃんの大切な発達の手助けになれば、と思います。
そもそも手づかみ食べにはどんな意味があるの?
大人は箸やスプーンなどの食具を使って食事をするのが当たり前ですよね。日本の食文化を考えても、素手で食事をするってどうなの?と思ってしまいそうですが、赤ちゃんの大切な発達の過程である「手づかみ食べ」は別物です。
赤ちゃんの手先の感覚は非常に敏感です。赤ちゃんは手づかみ食べをすることで食べ物の感触を知り、指の力を調整することを学んでいきます。
また、「自分で食べたい!」という意欲の表れでもあります。食卓がぐちゃぐちゃに散らかり、絶望的になる…なんていう親目線の気持ちも大変よく分かります。しかしここはグッと我慢して、触ってみたい、食べてみたいという赤ちゃんの気持ちを受け止め、尊重してあげましょう。
また、スプーンなどにも興味を持ち始め、試行錯誤する仕草はあるものの、器の中をグルグルとするだけで結局うまく使えず手づかみになるという様子もよく見られます。「スプーンはもうおしまい」と取り上げてしまいがちですよね。
もちろんケースバイケースで、あまりにもスプーンに夢中になって食事に集中できないようであれば別ですが、興味を持つこと自体は悪いことではありません。
保育園での食事介助の際、赤ちゃんの様子を見ながら、介助用のスプーンとは別にスプーンを1本用意して持たせてあげるなどの対応もしていました。一番は赤ちゃんの気持ちを受け止めること。大人も試行錯誤の連続ですが、赤ちゃんが食事を楽しい時間と感じられるよう対応したいですね。
手づかみ食べを活かす工夫って?
手づかみ食べは大切な発達の過程、とお話ししましたが、それを活かすための工夫とは具体的にどんなものでしょうか。工夫をしやすいのがごはんと野菜かと思います。
軟飯が食べられるようになってきたら俵型に握る、野菜はスティック状に切る等の工夫をしてみましょう。大きさは赤ちゃんが食べやすい大きさ、というのが模範解答かと思いますが、そうはいっても目安を知りたいですよね。
保育園の給食では、手づかみ食べをし始めた子には俵型おにぎり、スティック野菜を提供していましたが大きさのおおまかな目安は「大人の人差し指の長さ」に統一していました。約7㎝の長さになります。このくらいの長さであれば、赤ちゃんがつかんだ時にきちんと食材が顔を出すのでおすすめです。
手づかみ食べと同時に大切なことがあります。それは「大きく口を開けてかぶりつくこと」です。大きく口を開けてかぶりつくことには、唾液を多く分泌して食欲増進につなげることや、よく噛んで味わう力を養うという目的があります。
給食では、人参であれば太い部分を長さ7㎝に切り、縦1/4に切ったスティックを軟らかく茹でて提供していました。かなり太いと感じられるかと思いますが、赤ちゃんは順応していきます。
初めはむせてしまうかもしれませんので調節は必要ですが、食べ応えのある太さも意識してみるとよいと思います。こういった工夫をした献立を考え、実践してみてくださいね。
離乳食後期の手づかみ食べに、おすすめの献立!
では、実際に献立に反映するとどうなるのでしょうか。2つ例を挙げてみます。是非ご参考になさってください。
例1
俵おにぎり | ごはんを俵型に握る。 |
たらとほうれん草のだし煮 | たらは沸騰した湯で下茹でする。軟らかく茹でたほうれん草とともにだしで煮る。 |
人参とさつまいものスティック | 人参とさつまいもをスティック状に切り、軟らかく茹でる。 |
例2
食パンスティック | 食パン(8枚切り)の耳を除き、スティック状に切る。 |
ささみとトマトのスープ煮 | ささみを細かく切って片栗粉を薄くまぶして下茹でする。湯むきし種を除いたトマトを角切りにしてささみとともに野菜スープで煮る。 |
かぼちゃといんげんのスティック | かぼちゃはスティック状、いんげんは半分の長さに切り、軟らかく茹でる。 |
りんご | 5mm程の厚さのくし形に切る。 |
おにぎりをあまり食べない様子が見られたら青のりを混ぜてみる、野菜をあまり食べない様子が見られたらヨーグルトをつけてみるといったひと手間を加えてみるとよいかもしれません。
離乳食後期、手づかみ食べが始まった!献立はどうする?【まとめ】
手づかみ食べにも個人差があります。後期食に入ったら必ずしなければならないというわけではありません。手づかみ食べをし始めたと思っても、途端に興味がなくなることもあります。その都度赤ちゃんに合わせることが大切ですので焦らず対応していきましょう。
赤ちゃんと大人が一緒に食事をし、「おいしいね」「どんな味がするかな?」等たくさん話しかけながら楽しい時間を過ごしてくださいね。